秋月水樹
MOURNING乾燥で唇が切れているユと常にうる艶なハラさんの話。※ハラユマハラ。
下拵えは万全に。僅かに口の端から息が漏れ、もっとと強請ろうと首に手を回しかけた時だった。
不意に顔を離され、何故か分からずに目を開ければハララさんがボクを心配そうに見つめている。
どうしたんですか、と問おうと口を開けた時だった。
ピリッとした痛みが唇に生じる。
触れば指先に血が付いていて、でも理由はわかっているので「あぁ」と声を漏らせば「歯が、当たったか?」とハララさんは珍しく少し動揺交じりの声を漏らした。
「違いますよ、最近乾燥しているせいか唇がよく切れるんです」
血を指先で拭って、さて続きをと向き合った時だった。
「待て」
……ハララさんはよくボクに対して「待て」と言うけど、まるで犬に聞かせるように言う。
手を顔の前でかざしたままベッドから降りる姿に唇を尖らせれば、また仄かに唇が痛んだ。
2337不意に顔を離され、何故か分からずに目を開ければハララさんがボクを心配そうに見つめている。
どうしたんですか、と問おうと口を開けた時だった。
ピリッとした痛みが唇に生じる。
触れば指先に血が付いていて、でも理由はわかっているので「あぁ」と声を漏らせば「歯が、当たったか?」とハララさんは珍しく少し動揺交じりの声を漏らした。
「違いますよ、最近乾燥しているせいか唇がよく切れるんです」
血を指先で拭って、さて続きをと向き合った時だった。
「待て」
……ハララさんはよくボクに対して「待て」と言うけど、まるで犬に聞かせるように言う。
手を顔の前でかざしたままベッドから降りる姿に唇を尖らせれば、また仄かに唇が痛んだ。