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DONEマックスとアドラ寮以外で遭遇したいからお気に入りの場所を聞きたいカルパッチョパチョマク短文 カルパッチョ・ローヤンは、人生で最も理解が追いつかない存在と出会ってしまった。それがマックス・ランドだ。
彼は恐れや敬意を抱くでもなく、ただ「奇妙」だった。なぜ親友の弟の親友というだけで、命と体を張る覚悟ができるのか。そこまで踏み込めるのか。カルパッチョにはその理由がどうしてもわからなかった。
「魔法史の勉強がしたい。まずは身近なこの校舎から始めようと思ってる。
センパイが史学の視点からオススメする場所はどこ?センパイが気に入っている――よく行くところなら僕も通いやすい立地にあるよね?」
アドラ寮の談話室はある空気に包まれていた。――また来たのかよ……この男。カルパッチョ・ローヤンによって出来上がった空気である。はじめは恐れの気配が濃かった。いまや「帰れ!」なのだから、人というものは何事にもすぐ慣れる。
1658彼は恐れや敬意を抱くでもなく、ただ「奇妙」だった。なぜ親友の弟の親友というだけで、命と体を張る覚悟ができるのか。そこまで踏み込めるのか。カルパッチョにはその理由がどうしてもわからなかった。
「魔法史の勉強がしたい。まずは身近なこの校舎から始めようと思ってる。
センパイが史学の視点からオススメする場所はどこ?センパイが気に入っている――よく行くところなら僕も通いやすい立地にあるよね?」
アドラ寮の談話室はある空気に包まれていた。――また来たのかよ……この男。カルパッチョ・ローヤンによって出来上がった空気である。はじめは恐れの気配が濃かった。いまや「帰れ!」なのだから、人というものは何事にもすぐ慣れる。
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DONEパチョマク加筆して再掲です
パチョマク短文「――というわけで歴史は図にすると覚えやすいんだ。まとめると、中心となる事件を紙の中心に書く。そして関連する語句を放射状に繋げていく。どんどん分岐していくように」
アドラ寮の談話室は午後の光に溶けていた。マックス・ランドの声も豊かに広がっていく。勉強の方法を尋ねてきた女子生徒は聞き漏らすまいという顔だ。
「――紙が大きいと一瞬で把握できなくなるから、気をつけて」
マックスはなにかと頼りにされる青年である。1人の生徒が声をかけ、話に興味をひかれた生徒が加わって、最後は大所帯に……なんてことも多かった。多かったのだ、最近までは。相談はされるがみな早々と切り上げてしまう。
マックスそのものが理由や原因ではない。理由あるいは原因はマックスの隣に座っている。アドラ寮の生徒たちから困惑と奇異の眼差しを受け、しかしそれらには何も返さない。彼は感情を見つけにくい眼球をマックスに定め、よく言えば意欲的で、よくない言葉を用いると偏執的に観察している。赤い髪が特徴のオルカ寮の麒麟児。最古の十三杖の一本に選ばれた異才カルパッチョ・ローヤン。
2080アドラ寮の談話室は午後の光に溶けていた。マックス・ランドの声も豊かに広がっていく。勉強の方法を尋ねてきた女子生徒は聞き漏らすまいという顔だ。
「――紙が大きいと一瞬で把握できなくなるから、気をつけて」
マックスはなにかと頼りにされる青年である。1人の生徒が声をかけ、話に興味をひかれた生徒が加わって、最後は大所帯に……なんてことも多かった。多かったのだ、最近までは。相談はされるがみな早々と切り上げてしまう。
マックスそのものが理由や原因ではない。理由あるいは原因はマックスの隣に座っている。アドラ寮の生徒たちから困惑と奇異の眼差しを受け、しかしそれらには何も返さない。彼は感情を見つけにくい眼球をマックスに定め、よく言えば意欲的で、よくない言葉を用いると偏執的に観察している。赤い髪が特徴のオルカ寮の麒麟児。最古の十三杖の一本に選ばれた異才カルパッチョ・ローヤン。