百合菜
MAIKING遙か3・望美→将臣の話。いつか書くかもしれない話の一部。「よお、久しぶり」
屈託のない笑顔を見せながら夏の熊野に現れた幼馴染。
心の奥に小さな痛みを感じながら、望美はそんな彼に笑顔を向ける。
「将臣くん、久しぶり! まさか、こんなところで会えるなんてね」
そう、近所のコンビニで同級生と会ったのとはわけが違う。
いくら京と熊野は関わりがあるといっても、戦乱のさなかゆえ今日から熊野へ訪れるには時として命を掛ける必要もある。
もしかすると、ここでふたりが出会うのは深い理由があるのかもしれない。
あるいは避けられない運命なのかもしれない。
どんな事情であれ、今は将臣と行動をともにすることができるのが望美にはうれしかった。
熊野で将臣と過ごす期間は思いのほか、長くなりそうだった。
なぜなら望美たちも将臣も同じ場所を目的地としていたが、さまざまな障害により、たどり着くのが困難だったからだ。
遠回りをすることにした先で滞在することになった勝浦。
しばらくここに留まることとなり、自由時間を持つことができた。
久しぶりに波の音を近くで聞きたくなり、望美は浜辺へ行くことにした。
「よお、そこにいたのか」
浜でしゃがみ込みながら波を見ていると、幼いこ 2600