chiocioya18
DONE超常みかねじ(未満)です。8割捏造です。深影さんは不器用な男だと思うんですよね。
研究所の一室。軍服に白衣を纏った男たちがモニターを注視している。そこに表示される数値は一定の速度で上昇を続けていた。
「出力、蓄積量、ともに異常ないな」
「ええ。問題ありません」
無能力者が能力を使うためのエネルギーを特殊な機器を通して被験者へ蓄える実験。暗武と憧希の見つめるモニターには機器を取り付けた青年の姿も映っていた。別室にいる真我利のカメラ映像だ。超能力擬似発生装置の実験においては、被験者が暴走することも珍しくない。そのための別室措置だった。
「想定より良い数値です。もっと出力を上げてもいいかもしれません。真我利さん、よろしいですね?」
『どーぞ』
スピーカー越しに憧希が真我利に話しかければ、ぞんざいな返事が返ってくる。我が意を得たりと早速操作に取り掛かろうとした憧希を暗武が制した。
1416「出力、蓄積量、ともに異常ないな」
「ええ。問題ありません」
無能力者が能力を使うためのエネルギーを特殊な機器を通して被験者へ蓄える実験。暗武と憧希の見つめるモニターには機器を取り付けた青年の姿も映っていた。別室にいる真我利のカメラ映像だ。超能力擬似発生装置の実験においては、被験者が暴走することも珍しくない。そのための別室措置だった。
「想定より良い数値です。もっと出力を上げてもいいかもしれません。真我利さん、よろしいですね?」
『どーぞ』
スピーカー越しに憧希が真我利に話しかければ、ぞんざいな返事が返ってくる。我が意を得たりと早速操作に取り掛かろうとした憧希を暗武が制した。
kurautu
DONE本編終了後のみかねじ未満です。distortion 呻く声は扉を開く前から聞こえていた。ノックに返事がないのは予想がついていた。鍵を外して部屋へと入る。白いベッドの上で丸くなった体は胎児のようだった。あの頃まで、喜怒哀楽の全ての中に放り投げられる前まで戻れたのなら、そこから動かずにいるのが一番幸せなのかもしれない。
「痛むのか?」
命に別状はない、という診断結果だったけれど、動きを止められる程度には攻撃を受けているのだからとても軽傷とは言えない状態だった。乱れたシーツから覗く足首には包帯が巻かれている。まっさらな白は、病室の中にあっても馴染まずに浮いて見える。
「じきに鎮痛剤も効いてくる。少しの辛抱だ」
さっき投与されたのは、鎮痛剤と呼ぶには少し強すぎる代物だ。彼を苛んでいるのはおそらく傷の痛みだけではない。俺の声が聞こえているのかどうかも定かではなかった。包帯を巻かれた足がシーツを蹴る。また新しく弧が描かれる。強張った手が暴れるように動く。今にも波間に沈もうとしているようだった。
2475「痛むのか?」
命に別状はない、という診断結果だったけれど、動きを止められる程度には攻撃を受けているのだからとても軽傷とは言えない状態だった。乱れたシーツから覗く足首には包帯が巻かれている。まっさらな白は、病室の中にあっても馴染まずに浮いて見える。
「じきに鎮痛剤も効いてくる。少しの辛抱だ」
さっき投与されたのは、鎮痛剤と呼ぶには少し強すぎる代物だ。彼を苛んでいるのはおそらく傷の痛みだけではない。俺の声が聞こえているのかどうかも定かではなかった。包帯を巻かれた足がシーツを蹴る。また新しく弧が描かれる。強張った手が暴れるように動く。今にも波間に沈もうとしているようだった。