kiaratwst
MOURNINGトレジャミ⚠️喫煙描写あり
NRCにはいくつか人目につきにくい場所が存在する。ハーツラビュル寮の迷路の、右に二回、左に二回、最後にもう一度右に曲がった所だとか、スカラビア寮の砂漠にある洞窟の中だとか、学園裏の森だとか。ジャミルがいる体育館裏もその内の一つだ。こういった場所は得てして誰かしらがいるものだけれど、その日は運良くジャミル一人だけだった。喜びに指を鳴らし、口端を持ち上げたジャミルはポケットから煙草とライターを取り出した。
ジャミルが煙草を覚えたのは一年生が終わろうとしている頃のことだった。ストレスを上手く発散することができず、ほとんど不眠症になりかけていたところを、当時三年生だった先輩が見かねて一本分けてくれたのだった。最初は未成年だし、と断ったのだが、無理矢理吸わされて、そうして駄目な人間になってしまった。苦い煙が肺を汚していく感覚が、命を無為に消費している感覚が、ジャミルにとっては何よりも甘美な救いだった。
1768ジャミルが煙草を覚えたのは一年生が終わろうとしている頃のことだった。ストレスを上手く発散することができず、ほとんど不眠症になりかけていたところを、当時三年生だった先輩が見かねて一本分けてくれたのだった。最初は未成年だし、と断ったのだが、無理矢理吸わされて、そうして駄目な人間になってしまった。苦い煙が肺を汚していく感覚が、命を無為に消費している感覚が、ジャミルにとっては何よりも甘美な救いだった。
かもめ
DOODLE過去作。20200906【twst】♣️+🐍が薔薇の剪定──ハーツラビュルのイメージと違うな。
冬のハーツラビュル寮の中庭に初めて足を踏み入れたとき、ジャミル・バイパーはそう思った。
景色が茶色い。枯れ落ちた葉が地面を覆い、裸になった薔薇の木が寒々と立ち並んでいる。緑の木々に赤と白の薔薇、それに華やかなお茶会が、この寮の“ウリ”だと思っていたのに。
「あっちの温室では冬でも薔薇が咲いているんだけどな。こっちは屋外の地植えだから、そりゃ冬はこうなるさ」
ジャミルをこの場所に連れてきたトレイ・クローバーにそう説明された。だから冬場の「なんでもない日」のお茶会は温室でやるんだ、とも。
「温室の薔薇も綺麗だから、今度ジャミルもお茶会に来てみればいい。歓迎するよ」
2000冬のハーツラビュル寮の中庭に初めて足を踏み入れたとき、ジャミル・バイパーはそう思った。
景色が茶色い。枯れ落ちた葉が地面を覆い、裸になった薔薇の木が寒々と立ち並んでいる。緑の木々に赤と白の薔薇、それに華やかなお茶会が、この寮の“ウリ”だと思っていたのに。
「あっちの温室では冬でも薔薇が咲いているんだけどな。こっちは屋外の地植えだから、そりゃ冬はこうなるさ」
ジャミルをこの場所に連れてきたトレイ・クローバーにそう説明された。だから冬場の「なんでもない日」のお茶会は温室でやるんだ、とも。
「温室の薔薇も綺麗だから、今度ジャミルもお茶会に来てみればいい。歓迎するよ」