kotemari200723
DONE9月新刊「雨降ってさくら散る」 サンプルA5/64ページ/600円(予定)/すおさく
🫖は🌸へ向けて密かに思いを寄せていた。🌸に好きな人がいると知り、寂しさや切なさ、苦しさを抱いていた時、一本の電話が🫖に届く。
────🌸が記憶喪失になりました
記憶喪失の🌸とそんな🌸の事も好きな🫖による、すおさく小説本
雨降ってさくら散る サンプルプロローグ.雨粒の弾ける音
ざぁざぁ、と、屋根に打つ雨音が響く。窓を叩く雨粒がぱちりと弾けて、雨が一本の筋になって重力に従い落ちていった。
カチカチ、と、時計の指針が動く音がする。目の前にいることははぼんやりと外を眺めたあと、手元にあるコップに視線を戻して、布巾できゅっきゅっと心地よい音を鳴らしながら拭き始めた。
「朝テレビで言ってたけど、今日はずっと雨だって」
「そうらしいですね」
カップをソーサーから持ち上げて、片手で持つ。中を覗いてみれば、オレンジ味が強い赤い紅茶が揺れた。
─────ねぇ、好きな子いる?
雨が一日中降る教室の中、切なげな表情で窓の外を見る桜にふと聞いてみた。桜はすっかりと黙り込み、何も言わない。が、こちらに顔を向けた時、その表情が答えを物語っていた。
5844ざぁざぁ、と、屋根に打つ雨音が響く。窓を叩く雨粒がぱちりと弾けて、雨が一本の筋になって重力に従い落ちていった。
カチカチ、と、時計の指針が動く音がする。目の前にいることははぼんやりと外を眺めたあと、手元にあるコップに視線を戻して、布巾できゅっきゅっと心地よい音を鳴らしながら拭き始めた。
「朝テレビで言ってたけど、今日はずっと雨だって」
「そうらしいですね」
カップをソーサーから持ち上げて、片手で持つ。中を覗いてみれば、オレンジ味が強い赤い紅茶が揺れた。
─────ねぇ、好きな子いる?
雨が一日中降る教室の中、切なげな表情で窓の外を見る桜にふと聞いてみた。桜はすっかりと黙り込み、何も言わない。が、こちらに顔を向けた時、その表情が答えを物語っていた。
kotemari200723
DONE9月新刊「流星煌めき君想ふ」 サンプルA6/102P/¥500(予定)/すおさく
🌸に片想いをする🫖。二人で並んで歩く帰り道、流れ星が夜空を駆けた。その時願った願い事は恋の成就。
果たして🫖の恋は叶うのか────?
流星煌めき君想ふプロローグ.零れ落ちた流星
星々の瞬きと煌めく月を眺め、隣で仏頂面をして歩く彼に思いを馳せる。月に似た瞳を片目に宿し、ふと浮かべた笑みがまるで花が綻ぶように可憐な彼を。
「月が綺麗だね。」
かの有名な文豪は、アイラブユーを「月が綺麗ですね」と訳した。自分がそれを知った時、「何で月?」という思いが勝っていたが、彼に恋情を抱いている今なら分かる。月と彼の綺麗さが重なり、「好き」だと言いたくなって、だがそれを言えない何かしらの理由があって、遠回しに出たのがこの淡く端麗な言葉なのだと。無論、これは自分の考えであるため、全くの根拠は無い。
きっと彼は知らないだろう。「月が綺麗だね」の言葉の意味を。
だからこそ自分も、聞く人が聞けば恥ずかしい言葉をスラリと言える。彼がこの言葉を知らない事を理解しているから。
6034星々の瞬きと煌めく月を眺め、隣で仏頂面をして歩く彼に思いを馳せる。月に似た瞳を片目に宿し、ふと浮かべた笑みがまるで花が綻ぶように可憐な彼を。
「月が綺麗だね。」
かの有名な文豪は、アイラブユーを「月が綺麗ですね」と訳した。自分がそれを知った時、「何で月?」という思いが勝っていたが、彼に恋情を抱いている今なら分かる。月と彼の綺麗さが重なり、「好き」だと言いたくなって、だがそれを言えない何かしらの理由があって、遠回しに出たのがこの淡く端麗な言葉なのだと。無論、これは自分の考えであるため、全くの根拠は無い。
きっと彼は知らないだろう。「月が綺麗だね」の言葉の意味を。
だからこそ自分も、聞く人が聞けば恥ずかしい言葉をスラリと言える。彼がこの言葉を知らない事を理解しているから。