もけけ
PAST喫茶店しりーず「あふ……」
目をゆるゆると開いて連動するように出てきた欠伸をかみ殺す。窓から日が差し込んでいて朝だと理解した。少し窮屈なのは昨日一緒にベッドに入った大きな猫ちゃんのせいだろうと振り返ると人型の大きな猫ちゃんがいた。
厄災との戦いが終わった後、なぜか帰れなかった晶は中央の国で喫茶店を開き、その2階に住居を構えている。あのころ悩まされた「傷」も皆徐々に癒えているはずだ。ところが、この大きな猫ちゃん、ミスラは賢者ではなくなった晶の住居や職場によく顔を出した。というかほぼいる。
あの頃と同じように手を握って、でもあの頃では考えられない速やかな入眠。抱き枕のように癖になってしまっているのだろうか。
ベッドを降りて、魔法舎ほど上等ではないフローリングに置いたルームシューズを履いて、洗面台へ。寝ぐせではねた髪を撫でつけて軽く梳く。
2621目をゆるゆると開いて連動するように出てきた欠伸をかみ殺す。窓から日が差し込んでいて朝だと理解した。少し窮屈なのは昨日一緒にベッドに入った大きな猫ちゃんのせいだろうと振り返ると人型の大きな猫ちゃんがいた。
厄災との戦いが終わった後、なぜか帰れなかった晶は中央の国で喫茶店を開き、その2階に住居を構えている。あのころ悩まされた「傷」も皆徐々に癒えているはずだ。ところが、この大きな猫ちゃん、ミスラは賢者ではなくなった晶の住居や職場によく顔を出した。というかほぼいる。
あの頃と同じように手を握って、でもあの頃では考えられない速やかな入眠。抱き枕のように癖になってしまっているのだろうか。
ベッドを降りて、魔法舎ほど上等ではないフローリングに置いたルームシューズを履いて、洗面台へ。寝ぐせではねた髪を撫でつけて軽く梳く。
もけけ
PAST厄災戦後。帰れなかった晶ちゃんが喫茶店を開いて、そこに入りびたる番猫の話。導入からん、と涼し気な音がなる。それを聞いたカウンターの内側の女性がにこりと微笑みを作った。
「いらっしゃいませ。一名様ですか?」
中央の国の城下とは言えない外れのほう。郊外とまではいかないが人通りはいくらか落ち着いた通りにその店はある。通りに平行に設えられた階段を少し下ったところに入り口の扉があり、1階の窓が上の3分の1だけ地上に出ているような不思議な建物の1階がそれだ。
どうやら他に従業員もいないため店主であろう可愛らしい女性にお好きな席をどうぞ、と言われ、窓際の席へ。目の前に先ほど下った階段と、少し視線をあげれば通りを行きかう人の足だけが見える。
店内には他に数人客がおり、穴場の店なのかもしれないと思い至った。紅茶を注文しがてらそっと店内を見回した。テーブル席に若い女性が二人、カウンター席に高齢の品の良さそうな男性が一人。そして。
1351「いらっしゃいませ。一名様ですか?」
中央の国の城下とは言えない外れのほう。郊外とまではいかないが人通りはいくらか落ち着いた通りにその店はある。通りに平行に設えられた階段を少し下ったところに入り口の扉があり、1階の窓が上の3分の1だけ地上に出ているような不思議な建物の1階がそれだ。
どうやら他に従業員もいないため店主であろう可愛らしい女性にお好きな席をどうぞ、と言われ、窓際の席へ。目の前に先ほど下った階段と、少し視線をあげれば通りを行きかう人の足だけが見える。
店内には他に数人客がおり、穴場の店なのかもしれないと思い至った。紅茶を注文しがてらそっと店内を見回した。テーブル席に若い女性が二人、カウンター席に高齢の品の良さそうな男性が一人。そして。