krt_v3
DONE百王 / 本編後謎空間(いつもの)。IFについての淡々とした会話。人は常に解を探し求めるものだから。それが虚ろなものだとしても。ホロウ・シェイプ「――王馬! ……居るか!?」
パタパタと足早なつっかけの音が、木材の床を通じて室内に響く。古いインクと紙の匂いが漂う中を、百田は急ぐように抜けていく。彼の周囲には幾つもの古めかしく仰々しい本棚が立ち並び、まるで迷路のようだった。その一角、光が零れる場所に出ると、百田は一度その歩みを止めた。
開けたその場所には、壁一面、二階まで突き抜けるような、ゴシック様式の大きな尖頭窓が取り付けられていた。採光の機能を十分に果たしており、同時にこの空間の印象を決定付けていた。光の先には木製の机と椅子が並べられており、推測するまでもなく用途は読み取れた。
「……。図書館、でいいんだよな、これ」
ただ、利用する人の気配は、見当たらなかった。
8163パタパタと足早なつっかけの音が、木材の床を通じて室内に響く。古いインクと紙の匂いが漂う中を、百田は急ぐように抜けていく。彼の周囲には幾つもの古めかしく仰々しい本棚が立ち並び、まるで迷路のようだった。その一角、光が零れる場所に出ると、百田は一度その歩みを止めた。
開けたその場所には、壁一面、二階まで突き抜けるような、ゴシック様式の大きな尖頭窓が取り付けられていた。採光の機能を十分に果たしており、同時にこの空間の印象を決定付けていた。光の先には木製の机と椅子が並べられており、推測するまでもなく用途は読み取れた。
「……。図書館、でいいんだよな、これ」
ただ、利用する人の気配は、見当たらなかった。
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DONE百王/ハピダン時空。少し不調の百と、ちょっかいかけにきた王の、海辺での一幕。そういうバグが紛れ込む事もある、+でもあり×でもあるみたいな話。cut out 燦々と照りつける太陽。からりとした暑さは日本のジメジメとしたそれに比べればすこぶる快適だ。心地良い潮風が椰子の木を揺らし、適度に汗ばんだ髪も撫ぜていく。波が打ち付ける音がBGMになる、理想的な南国の風景。学生時代の思い出作りには最適の環境。
「――なのによー。何だってんだ、これは」
百田は喉元を押さえながら、内側からつっかえているものを吐き出すように溜息を零す。だがその程度では晴れてくれなかった。胸の辺りをジワジワと侵食し、時折ズキリと痛む感覚があった。
(プログラム世界の、バグか何かか……? どうしたもんか……)
百田の格好はいつもの制服だが、昼間の海辺を歩くには暑いので、上着はコテージに置いてきていた。シャツの袖を捲りながら防波堤の傍を散歩していた所で。
5488「――なのによー。何だってんだ、これは」
百田は喉元を押さえながら、内側からつっかえているものを吐き出すように溜息を零す。だがその程度では晴れてくれなかった。胸の辺りをジワジワと侵食し、時折ズキリと痛む感覚があった。
(プログラム世界の、バグか何かか……? どうしたもんか……)
百田の格好はいつもの制服だが、昼間の海辺を歩くには暑いので、上着はコテージに置いてきていた。シャツの袖を捲りながら防波堤の傍を散歩していた所で。