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    #final

    pa_rasite

    DOODLEpixivにアップしてたの引っ込めたのでこちらに
    過去ログ4今にも雪が降ってきそうな灰色の空をした日のことだった。吐く息は白く濁って空の色に溶け込んでいく。どんよりとしたこの鉛色の感情も溶け込んでしまえば楽になれるのにと少年はとめどなく溢れる涙を袖で拭った。着古して薄くなったコートの袖は涙をたっぷりと吸って重たくなっている。
    今日は少年の7歳の誕生日だった。本当ならフレディ・ベアーズ・ダイナーで誕生日会を開いてもらえる予定だったが……。今日に限って両親の仕事が立て込みパーティーの計画はキャンセルされてしまった。両親の仕事が忙しいのはわかっている。少年の家は自営業を始めたばかりだった。

    『仕事が軌道に乗ればフレディのお店よりも立派になるぞ!』

    パーティーが急遽取りやめになった少年を慰めようとした父の言葉を思い出したが、そんなことはどうでもいいのだ。せっかくの誕生日なのにパーティーも開かれず、フレディから誕生日の冠もメダルも首にかけてもらえない。こんな不幸はなかった。ケーキはフレディの店に頼んでいたから用意できないが、プレゼントだけは用意してくれると母が約束してくれた。だがそれが望みじゃない。一番の仲良しの友達のようにフレディのお店でパーティーを開いてバースデーケーキが欲しいだけ。ちゃんと誕生日の日にだ。来週の日曜日に新しくパーティーの予約を入れてもらったからというのは少しも慰めにならない。
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