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    #てとみど

    handDoor

    marine__773

    MAIKINGてとみど 短いし急に始まって急に終わる オチはない
    「鉄虎くんはさ、ああいうなし崩し……みたいな感じになるの、嫌いなタイプだと思ってた」
    ぼそりと呟いた翠の言葉に、背を向けていた鉄虎の剥き出しの肩がぴく、と反応を示した。二人分の身体の下で、汗やら何やらの液体が染み込んでしまったタオルだとか、破かれたまま放られていたゴムの小さなビニールの包装だとかを片付けていたところだった。翠は鉄虎の甲斐甲斐しいまでのそれに任せてぼんやりと気怠い身体をベッドの上に預けて寝転がっていたが、振り返った鉄虎がひどく気まずい表情をしているのが面白くて、思わず笑みを浮かべてしまった。
    「……もしかして、嫌だったッスか」
    「……別に、俺はどっちでもよかったし」
    翠にとってはそのままの意味だったのだけど、突き放すみたいな言い方になってしまっただろうか。少しだけ不安になった。けれど、鉄虎は何も言わないまま、翠の言葉の真偽を確かめるかのようにじっと見つめてくる。いつだって彼は真っ直ぐな在り方で、その真っ直ぐさが翠にとってはいっそ痛いくらいに突き刺さる。だからこそ、自分達がこういった関係になってからの、有無を言わさず翠の身体を押し倒した鉄虎の姿が、翠の中の彼の印象とちぐはぐに思えて仕方ないのだった。
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