みどてとwebオンリー展示「……ん、」
ぱち、と何かが弾けたような心地とともに、翠の意識がはっきりとしていく。布団からはみ出た足先が少しだけ寒い。
薄暗い闇の中で、手探りで放り出した携帯の画面を見れば、時刻は午前二時。散々交わって終わった後は軽く身体を拭いて、そこからシャワーも浴びずに二人して眠ってしまったようだ。このまま再び寝るのもいいけれど、どこか身体を包む落ち着かなさの正体は。
「(お腹空いたな……)」
何でもいいから胃に入れたい。けれど、手間のかかるものを作るには面倒くさい。そこで翠の頭に思い浮かんだのが、買ったまま食べ損ねていたカップ麺の存在だった。お湯を入れるだけで出来上がるそれは、インスタントの袋麺よりももっと手軽で、今の自分にはぴったりだ。一度思い浮かべてしまえばラーメンを食べた時の塩辛い汁の絡んだ麺の美味さが口の中に広がるような気がして、余計に空腹を自覚させる。
3142