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DONE4/16(土)開催の轟出webオンリー「糖度あふれる未来図を」展示小説。轟くんがお母さんのお見舞い前に持っていく花を二人で選ぶ話。
春は君の手をひいて「チューリップって、こんなに種類あんのか」
春の花々が彩る駅前の花屋。その店先に、焦凍と出久は立っていた。
かたや母親の見舞い、かたやトレーニンググッズの買い物、それぞれ別の目的で出かけようとした二人は寮の玄関で鉢合わせた。
寒の戻りも和らいだ日差しの中、自然と並んで歩き始めた二人の足を止めたのは、少し春らしい花をお見舞いに持って行きたい、という焦凍の一言だった。
そして今、花屋の前。
春といえば、とまっすぐ店の一角ーーチューリップが並ぶあたりに向けられた焦凍の人差し指は、その種類の多さに戸惑ってゆるゆると下ろされた。
「……"あか、しろ、きいろ"、だけじゃねぇんだな」
童謡の一節を呟いた焦凍の声には、困惑の中にも素直な感心と感動がこもってる。
2806春の花々が彩る駅前の花屋。その店先に、焦凍と出久は立っていた。
かたや母親の見舞い、かたやトレーニンググッズの買い物、それぞれ別の目的で出かけようとした二人は寮の玄関で鉢合わせた。
寒の戻りも和らいだ日差しの中、自然と並んで歩き始めた二人の足を止めたのは、少し春らしい花をお見舞いに持って行きたい、という焦凍の一言だった。
そして今、花屋の前。
春といえば、とまっすぐ店の一角ーーチューリップが並ぶあたりに向けられた焦凍の人差し指は、その種類の多さに戸惑ってゆるゆると下ろされた。
「……"あか、しろ、きいろ"、だけじゃねぇんだな」
童謡の一節を呟いた焦凍の声には、困惑の中にも素直な感心と感動がこもってる。