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MAIKING婚姻届けやから大事なひとに一筆もらう小話で、どないなっとん?と大学のラウンジで久々に顔を合わせた隊長に、茶のみ話のように振られ、ぼちぼちでんな、と水上はお約束のフレーズをとりあえず返した。「本籍地が大阪《むこう》なんですわ。なんで戸籍謄本を取り寄せ中です。ふたりだけのことなのに、色々とめんどくさいっていうんが正直なところですわ」
「おまえと王子やったら籍なんてどうせもええと言い出しそうやけどな」
「同じことをおーじにも言われましたわ。形だけのことならどうでもかまへんですけど、不便なこともようありますからそのあたりは。……どうせだから、ついでに本籍もこっちにしたろ思いまして」
「ほうほう。とうとう自分もこっちに骨ぇ埋める気になったか」
そうかそうかとしみじみと、そして嬉しそうに頷く生駒にほろりと笑みをこぼしながら、
「で、ここで会えたが百年目、というわけちゃいますが、実は今日待ち合わせしてまでイコさんにお願いしたいのが、これなんですわ」
と水上がさしだしたのは婚姻届けだった。
「何、おまえ、俺と籍入れたいん?」
「あんたならそういうボケはさむと思いましたよ。証人、お願いしてええですか」
「俺でええの?」と彼は自分を指さして 950