torinokko09
DONE四月一週目「交換」 一燐ワンドロ猫と交渉する一彩の話
ギリギリまでかかったからぎゅうぎゅうになっちった。
一彩はじりじりと相手を隅へ追い詰める。人としての尊厳を捨てて、四つん這いになって睨み合った。退治する彼も手放す気は無い、と汚くなったタオルハンカチを噛み締めた。
「・・・」
「・・・」
やがて相手の背中がぴたりと壁につく。一彩はじっと見つめながら、手に持った新しいタオルハンカチを差し出した。
「・・・これにしてくれ」
「・・・」
「見てごらん、それよりもふわふわじゃないか」
「・・・」
睨めど動かない毛玉に、一彩はがくりと額を地につけた。完敗だ。はぁ、と大きなため息をつくと、一彩は体をごろりと床へ転がした。退治する猫は「やっとか」とでも言うようにお気に入りのタオルハンカチの上に寝転がる。
昨夜から続いているこの攻防は、一彩の貴重な休日をおおいに奪っていた。ぺろぺろと毛ずくろいをする茶トラの猫を眺めながら、一彩は兄から厳命された『タオルハンカチの洗濯』をどう遂行すればいいのかと考えをめぐらせた。
2774「・・・」
「・・・」
やがて相手の背中がぴたりと壁につく。一彩はじっと見つめながら、手に持った新しいタオルハンカチを差し出した。
「・・・これにしてくれ」
「・・・」
「見てごらん、それよりもふわふわじゃないか」
「・・・」
睨めど動かない毛玉に、一彩はがくりと額を地につけた。完敗だ。はぁ、と大きなため息をつくと、一彩は体をごろりと床へ転がした。退治する猫は「やっとか」とでも言うようにお気に入りのタオルハンカチの上に寝転がる。
昨夜から続いているこの攻防は、一彩の貴重な休日をおおいに奪っていた。ぺろぺろと毛ずくろいをする茶トラの猫を眺めながら、一彩は兄から厳命された『タオルハンカチの洗濯』をどう遂行すればいいのかと考えをめぐらせた。