薪割り
DONE弟宇、現パロ6.バースデーカード
2022.10.31
宇髄さんのお誕生日に寄せて。
バースデーカード 兄への誕生日カードを選んでいる。
ここ何年か送っていて、去年は黒地に金抜きでハッピーバースデーと書かれているシンプルなものだった。
今年は趣向を変えて、ケーキと動物達が飛び出すかわいいカードにしたらメッセージ欄がほとんどない。
まぁ毎年同じことしか書いてないからいいんだけど。
「誕生日おめでとう、天元兄さん」
お決まりの文句を並べたら、封をして切手を貼りそのまま投函する。
そして、数日後にうちへ配達されたカードを開封することなく箱へしまう。
宛名所がない手紙は返ってくるものだ。
それでも懲りずに毎年出す。
願いを込めて。
どうか、このカードみたいに俺のところへ戻ってきてくれ、兄さん。
299ここ何年か送っていて、去年は黒地に金抜きでハッピーバースデーと書かれているシンプルなものだった。
今年は趣向を変えて、ケーキと動物達が飛び出すかわいいカードにしたらメッセージ欄がほとんどない。
まぁ毎年同じことしか書いてないからいいんだけど。
「誕生日おめでとう、天元兄さん」
お決まりの文句を並べたら、封をして切手を貼りそのまま投函する。
そして、数日後にうちへ配達されたカードを開封することなく箱へしまう。
宛名所がない手紙は返ってくるものだ。
それでも懲りずに毎年出す。
願いを込めて。
どうか、このカードみたいに俺のところへ戻ってきてくれ、兄さん。
薪割り
DONE弟宇、大正軸5.書庫にて
2022.9.28
長めに書いてみました。
こがね丸をお借りしました。
書庫にて 任務のあと世話になっている、ここ藤の家紋の家を宇髄は気に入っている。何故なら、広い書庫が備わっているからである。
尋常小学校の校長をしている主人が、児童書から流行りの雑誌まで幅広く揃えているのだ。読書用の机と電灯、椅子も据え付けてある。
それに本棚はいつもきれいに整頓されていて、出しっぱなしになっていたり、順番が違うなんてこともない。
何より本だらけのこの部屋でインクや紙のにおいを嗅いでいると、任務後の昂ぶった意識を平穏な世界へと変えてくれるのが良い。
他の柱や隊士たちには本など読まないと思われているだろうが、宇髄はこう見えてかなりの読書家だ。
鬼殺隊に入る以前、忍びの稼業では様々な階級の人に会ったり潜入していたので、それなりの素養がないと渡り合えなかった。バカではやっていけないのである。そう言う専門知識や教養を得るには本が手っ取り早く最適だ。
1314尋常小学校の校長をしている主人が、児童書から流行りの雑誌まで幅広く揃えているのだ。読書用の机と電灯、椅子も据え付けてある。
それに本棚はいつもきれいに整頓されていて、出しっぱなしになっていたり、順番が違うなんてこともない。
何より本だらけのこの部屋でインクや紙のにおいを嗅いでいると、任務後の昂ぶった意識を平穏な世界へと変えてくれるのが良い。
他の柱や隊士たちには本など読まないと思われているだろうが、宇髄はこう見えてかなりの読書家だ。
鬼殺隊に入る以前、忍びの稼業では様々な階級の人に会ったり潜入していたので、それなりの素養がないと渡り合えなかった。バカではやっていけないのである。そう言う専門知識や教養を得るには本が手っ取り早く最適だ。
薪割り
DONE弟宇、現パロ4.父の日
2022.6.19
父の日「ごめん兄さん、父さん来られないって。」
席に戻ってそう告げる弟は少しうれしそうに見える。
俺が独立してから続く、父の日の食事会に今年も父は不在だ。
去年も、その前の年も来なかった。
実家暮らしの弟が計画を立て連絡してくれるが、父は決まって当日欠席だ。
ここ何年か会っていないけど元気にしているのだろうか。
俺の残念そうな顔を見て今度はすまなそうにする弟に、お前が謝るな、来年はきっと父さん来てくれるからと明るく言い、食事を続けるよう促す。
グラスを待ち上げ、安心したようにっこり笑う弟の笑顔に胸が絞られる。
本当はいないんだろ。
もう死んでるんだろ。
お前が殺したんだろ。
俺は知っている。
もう一度乾杯した酒と一緒に、その疑惑を飲み下した。
325席に戻ってそう告げる弟は少しうれしそうに見える。
俺が独立してから続く、父の日の食事会に今年も父は不在だ。
去年も、その前の年も来なかった。
実家暮らしの弟が計画を立て連絡してくれるが、父は決まって当日欠席だ。
ここ何年か会っていないけど元気にしているのだろうか。
俺の残念そうな顔を見て今度はすまなそうにする弟に、お前が謝るな、来年はきっと父さん来てくれるからと明るく言い、食事を続けるよう促す。
グラスを待ち上げ、安心したようにっこり笑う弟の笑顔に胸が絞られる。
本当はいないんだろ。
もう死んでるんだろ。
お前が殺したんだろ。
俺は知っている。
もう一度乾杯した酒と一緒に、その疑惑を飲み下した。