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    #直甚

    very

    とりさし🐣

    MAIKING※本誌バレ有 +存在しない記憶
    直甚 (直9才と甚16才くらいの気持ちで書きました)
    ガン、と大きな衝撃音がした。
    入るなと言われている隅の小部屋からだ。目を音の鳴った方向に向けると、「見てはなりませんよ」と先を急かされる。

    「彼処、なんで入ったらあかんの」
    幼少期に別れた母親の方の言葉を真似たこの口調を、家の人間はあまり良い顔をしない。突然いなくなった母が、どういう理由で居なくなったのかは知らないが、まるでその面影を追うようで嫌なのだろう。まだまだ子どもなのね、と勘違いも甚だしい感傷を抱く奴もいれば、あの女を思い出して胸糞悪いと陰口を叩く人間もいた。勿論、家の連中が嫌がるから、わざわざ母の言葉を真似てやっているわけだが、どうやらこの家で父だけが俺の意図を正しく理解しているようだった。この家にはきっと、碌な奴が居ない。

    世話係の女が、「ご当主がお呼びですよ」と急かしたが、音の正体の方が気になっていた。もしかしたら、少し自信があったのかもしれない。術式をうまく扱えるようになって以降、父からの期待は兄弟の中で一番受けていたから、自分は優秀なのだということを知っていた。ジャリ、と足が隅の小部屋へ向く。

    「彼処は、入ってはならない部屋です。お伝えしている筈」
    「だから、そ 2578