akiajisigh
DONE2023年11月紡ぎ松のお題…漸く上がりました。先日上げた冒頭も、後半に合わせて微修正。
内容無いのにこの文字数。
雰囲気を味わっていただければ。
ほぼ描写ないですが白ランカラ松×白ラン一松です。
昭和初期くらいですが、時代も彼岸花についてもにわかググり知識で書いてます。
参考にされませぬ様。
曼珠沙華 幼い頃、約束をした。
「この火の花がさくころ、かならずむかえに行く」
遠い田舎の少年と別れて十余年。
その日、真っ直ぐな目で誓った少年は今——
隣に住んでいる。
「お前もよくやるねぇ一松ぅ」
「…」
ニヤニヤと、完全に揶揄う顔のおそ松兄さんをギロリと睨んでも、効果はないし現状も変わらない。
現状。
この捻れ拗れた現状を打破する方法を、そもそもおれは知らない。だから『よくやる』も何もないのだ。続けるしか出来ない。他に良案があるなら教えて欲しい。ため息をついて、これまでに何度も辿った記憶をもう一度振り返る。
事の発端は、十年ほど前。小学校就学の前年にまで遡る。どうにも気弱で兄の後ろに隠れてばかりのおれを心配した両親は、自立心を養う為に一年ほど、遠戚の家へ預けた。生活に不自由は全く無かったが、そんな事情など理解できない五歳児には霹靂だった。元の家からはきっと捨てられたのだと思い込んで塞ぎ込み、周囲に馴染む事など到底できなかった。
12201「この火の花がさくころ、かならずむかえに行く」
遠い田舎の少年と別れて十余年。
その日、真っ直ぐな目で誓った少年は今——
隣に住んでいる。
「お前もよくやるねぇ一松ぅ」
「…」
ニヤニヤと、完全に揶揄う顔のおそ松兄さんをギロリと睨んでも、効果はないし現状も変わらない。
現状。
この捻れ拗れた現状を打破する方法を、そもそもおれは知らない。だから『よくやる』も何もないのだ。続けるしか出来ない。他に良案があるなら教えて欲しい。ため息をついて、これまでに何度も辿った記憶をもう一度振り返る。
事の発端は、十年ほど前。小学校就学の前年にまで遡る。どうにも気弱で兄の後ろに隠れてばかりのおれを心配した両親は、自立心を養う為に一年ほど、遠戚の家へ預けた。生活に不自由は全く無かったが、そんな事情など理解できない五歳児には霹靂だった。元の家からはきっと捨てられたのだと思い込んで塞ぎ込み、周囲に馴染む事など到底できなかった。