温め鳥と諦め雀もう駄目だ。
自分では来た事もない高い空の上。耳元には凍えるほど冷たい風がびゅうびゅうと吹きつける。所々の羽が逆立って気持ち悪いが、それを嘴で直す事もできない。何故ならおれは今、自分の脚より太い枝のような物で体中をがんじがらめにされている。背中に三本と腹側に一本、絡みついたそれに抑えつけられ、右の翼が変な形で伸びている。もう一本に挟まれた尾羽が抜けそうで尻もピリピリ痛む。さらに首を右側から一本、左から一本ガッチリ挟まれて身動きを完全に封じられ、最後の一本は茶色い頭にかかっている、その『枝』の先についた鋭利な爪が目の端にキラリと光り、思わず生唾を飲み込んだ。飲み込んだだけ、他は全く動けない。抵抗などできるはずもない。早々に諦めて斜めに傾いだ首のまま、見た事もないほど小さな景色が右から左に流れていくのを見送りながら、頭の中では自分のこれまでを見送り始めた。
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