Rin
MOURNINGバレンタイン走榊 あんなやつの、どこがいいんだか。榊はあえて視線を送らないよう、窓の外を見つめる。よりによって自分の教室の前に、蔵原と見たことのない女子が立っている。蔵原はこちらを見ているから気づいていないが、女子の後ろ手には菓子箱が握られていた。正しくバレンタインのチョコを渡している現場、というわけだ。
ラッピングからして、義理チョコにも見えない。どうせ本命だろう。あいつのことだ。肩に掛けているバッグにも、たくさんの本命が入っているに違いない。……まあ、俺だって本命のチョコの二つや三つ貰ったし。あいつ程ではないが、それなりにモテる。別に羨ましがっているわけじゃない。
ただ無口で仏頂面、なにを考えているのかよく分からないあいつの、一体どこがいいんだか。女子は、足が速けりゃ誰でもいいのか。
1044ラッピングからして、義理チョコにも見えない。どうせ本命だろう。あいつのことだ。肩に掛けているバッグにも、たくさんの本命が入っているに違いない。……まあ、俺だって本命のチョコの二つや三つ貰ったし。あいつ程ではないが、それなりにモテる。別に羨ましがっているわけじゃない。
ただ無口で仏頂面、なにを考えているのかよく分からないあいつの、一体どこがいいんだか。女子は、足が速けりゃ誰でもいいのか。