アロルクワンライの没 ワンライはあした『父さんに、会ってきた』
真夜中に突然、ナデシコから渡された端末が震えた。
画面を見れば、連絡を寄越したのは唯一無二の相棒だ。
何か考えるより先に応答すれば、開口一番それだけ告げて押し黙る。外出先なのか画面はひどく暗く、顔を少し伏せて画面の外に向けているからその表情までは伺えない。だが、僅かに掠れたような頼りないその声音は、あまり良い状態ではないことを如実に伝えていた。
あの野郎に会えば、こうなることは明白だ。
「……で?」
『今、ミカグラにいて……多分僕は、君に今すぐ伝えなきゃいけないことがある。その……今は、僕も少し混乱してて、まとまらないし長くなると思うんだけど、』
返す無言は、促しだ。
それを理解しているんだろう、ルークが吐いた深い溜息は、僅かな安堵を滲ませていた。
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