てすと 思い返してみればこんな無防備に女から体のあちこちを触られる事は初めてだった。
みすぼらしい身なりでの逃亡の日々を重ねていくにつれ女の肌の柔らかさに気がつき少しはガードも薄くなる…。
この女の個性は銃だ。
常に彼女の体からは硝煙…火薬の燻した臭いが漂っている。
これが普通の女の臭いとかけ離れている事は理解できているつもりだがそこに仄かに混ざる女性本来の甘い体臭が治崎の鼻をくすぐる。
己のそのツートンの髪を練り合わせ弾丸を生成するという特殊な作業……それを潤滑に行う為に専用のグリスを使用しているらしい。彼女の指先にはその臭いが染み付いていた。
通常の銃火器に使用するグリスとは異なるのだろうか。機械的な油の臭いではない。
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