ある刀の瞳孔 一瞬何が起こったのか分からなかった。
「増援!?」
歌仙は、目の前の光景が信じられなかった。あと少しだったのだ。あと少しで、この形勢を打破できるはずだった。それが一瞬で押し戻された。残っている者は皆、手傷を負っている。
「こんのすけ!どういうことになってる!」
「分かりません!おそらく増援ではなく、本隊が来たと考えるのが妥当でしょう!」
唯一の通信手段である管狐が答える。
「本隊とは厄介ですね。」
その真っ白な髪を血で染めながら、ふわりと横に立った、小狐丸が言う。
「各防衛ラインの戦況を教えてくれ!」
歌仙は敵を切る手を止めずに聞いた。
「はい。前衛はやや有利、中央は拮抗、そして、最終ラインが不利です!」
その報告を聞いて、歌仙は深く息を吐く。主に近侍を命じられ、そのためにこの大戦の指揮を任された。その任の重さを甘く見たことなど、一瞬もなかった。なのに、なのにだ。総大将がこの体たらく。一人の敵の浸入も許さぬこの最終ライン。そこが最も攻められてる。
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