また明日 オレに目通りを願いたい、と並んでいた人の列がようやくなくなった。朝から何人の話を聞いたんだか、もうさっぱり覚えていない。
今日のあとの予定は、と側の大臣に聞くと、少し後に会談および、晩餐で会食の予定だと言う。
「最近急に羽振りの良くなった富豪がおりまして、ぜひ王様と話したいことがある、と言うのです。どんな用件かはわかりませんが、気分良くお帰りいただくのが肝要かと」
と言われ、そのいかにも面倒そうな雰囲気にオレは顔を顰めた。どうせうちの商品を取引しないかとか、うちの娘を妃にしないかとか、そういうのだろう。あ〜、憂鬱すぎ!
…もう、抜けるなら今しかない。
あいつに会いたい。今、きっと、2階の通路のあたりで作業をしているはずだ。
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