偽りその男は黒髪で、黒縁の眼鏡をかけていた。
すぐ隣の空き家に数年前に引っ越してきた。
兄弟のいない悠仁にはずっと気のいい兄的な存在。
そう、思っていた。
そう…接していた。
夏の終わりにスイカをもらいましたと遊びに行って、どうせ両親は不在だし爺ちゃんは商店街で当たった旅行券でしぶっていた旅行に無理矢理に行かせたいたから明後日まで一人。
たまには爺ちゃん孝行したいのもあったから。
そんで、どうせなら泊まっていくか?と言われてすぐ隣なのに、妙にわくわくして風呂だけ済ませてその人の玄関チャイムを押した。遠くから「裏に回ってください。」と聞こえて横からぐるりと裏へ進む。
「こっち。」手招きされた縁側でその人はカットされたスイカをどうぞと。
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