こたつと髭膝今年もこたつに蜜柑の季節がきた。
いつもなら、僕のために蜜柑を剥いてくれる弟が、今はいない。
戦力拡充で僕らの経験値が二倍になる戦場があったからといって、さすがに僕らは過度な出陣をしすぎていた。
そして弟はあるとき、赤疲労で帰ってきたかと思えばポンっ、と煙を吹き出し、刀に戻ってしまったのだ。ちょうど審神者の体調もよくなくて、弟は赤疲労と審神者の体調不良のあおりを受けて刀になってしまっている。
「お前はいつまで寝ているつもりかな」
一人で蜜柑を食べても、酸っぱいだけだ。弟が剥いてくれたらおいしく感じるのに。
主は結局インフルエンザというやつで、悪化して政府の病院に運ばれた。主の霊刀が戻れば弟も戻るはずだ。そうでなくても再顕現してもらえる。だから今はこらえてくれと薬師くんに言われているから、僕は大人しく待っている。
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