子猫ある日、体術の授業で、一、二年の全員が一つの教室に呼び集められた。
とはいえ、もともと二年は四人しかいないので、誰か一人でも任務に駆り出された日には俺も呼び出されるのが通常のこととなっていたので、別段不思議に思うこともなく、指定された教室に顔を出した。
教室にはいつも通りおっとりしたパンダ先輩と、いつも通り不機嫌な真希さん。
(乙骨先輩と狗巻先輩が任務中なのか?)
「ッス」
心ばかりの挨拶をし、空いている窓際の席に腰を下ろした。
「はーい、みんな揃ったかな?」
時間ギリギリに、右手に白い子猫を抱いた五条先生が姿を現した。子猫と成猫の間とでもいうべきか。人間の年齢にしたらちょうど俺たちくらいだろうか。五条先生の手のひらにかろうじて前足で引っかかっていて、伸びた尻尾と胴体は思いのほか細長い。基本は白猫のようでトラ猫の血も混じっているのか、額にはうっすらとMの柄が、グレーの尻尾はまっすぐスラリと長く、紫色の綺麗な瞳と、ニコリと微笑んでいるように上がった口角には、独特の二重丸。独特の二重丸?あれ、蛇の目じゃねぇのか?
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