大人と子どもの境界線(タクルー)「タクシーさん、やっほやっほ♪」
「うわ…お前もよく飽きないなぁ……」
仕事帰り。ホテルのロビーの一人掛けソファに腰掛けて、いつものように競馬新聞を読みながら上司が来るのを待っていた。上司への業務報告をもってタクシーの仕事は終業となるのだが、いつもこの僅かな休憩時間にやってくるのが、頭にデカイルーレット盤を乗せたこのルーレット小僧だった。
「タクシーさんは歯磨きやお風呂に飽きたりするの??」
「……つまり、お前の中でこれはルーティンなの?」
「寝る前にお喋りするの、楽しいでしょ♪」
「もうド深夜なんだけどなぁ……」
子どもはもっと早く寝ろよ、成長出来ねェぞ?と、ゲンナリした様子のタクシーに言われて、ルーレット小僧はキャハハと笑う。
1916