信くんの生存フラグまで 第一部まとめ(仮) 村が燃えている。
最初、何が起こっているのか分からなかった。平和な、何の変哲もない村が、喧騒に包まれて真っ赤に染まっていた。
「鬼族だ!」「獣人族だ!」「火を消せ、水を!」
村の大人たちが村を駆けずり回っている。氷船は、――年長のほうではあるがまだ子どもに分類される氷船は、まだ火の回っていない裏山と長老の家とを往復して、泣きじゃくって歩けない子どもや持てる限りの食糧などを避難所の山小屋へ運んでいた。
今日は、長老が村の子どもたちを集めて読み書きや計算を教えていた。その長老の家から子どもたちをみんな運び出したのを見届けた長老が、最後にいくらかの書物を抱えて出てくる。ちょうどそこへ戻ってきた氷船は、長老の抱える書物を渡してもらい二人で山小屋に向かった。
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