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    Lionsomps

    ラウヴァアアアアアアアン!
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    Lionsomps

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    うちのほんまる設定

    熾火会議室と呼んでいる部屋の大きな座卓に置かれた本ほどの大きさのタブレット。
    これは実質「本丸の鍵」だ。
    審神者の霊力を軸として立ち上げられた箱庭・・・疑似神域。
    それが政府が作り上げた時空域にまるでルーズリーフのページの様に収納されている。仮にも「神」を呼び繋ぎ止める為には土地を依り代とした「縁」が必要なのだそうだ。何故それが出来るか。不可思議な超常現象でさえも理論として解き明かした人類の力は時も空間も操り神さえ呼べる。強大すぎる力故に現在その技術は門外不出の禁忌として限られた政府の人間のみで管理されている。私たちもまた所属する兵として管理されるのみ。
    この通信機を操作し許可を経て本丸を機能させているに過ぎない。
    身も蓋もない言い方をすれば、只の乾電池だ。

    その「鍵」に手をかざすと液晶画面が反応しポン、と気の利いたような間抜けな様な軽い音が鳴る。生体認識のチェックを通過出来た証だ。
    タブレットの画面が輝いてその上部にザッと立体映像が立ち上がった。
    それは罫線で囲われた一覧表になっており、書かれている内容は今回政府から与えられた数件の指令だった。項目の欄の隣にレ点が上から順番に付けられていくのを目で追いながら、最後の行にチェックが入り正式な任務の終了にホッと息をつく。

    だが、ザッと映像が乱れそこに【入電】の文字が浮かび上がった。

    「うわあ」

    思わず面倒くささに声が出た。
    はあと机に突っ伏しながらその文字に指を伸ばし触れると画面に登場したのはこんのすけ・・・によく似た通信専用の管狐だった。

    「幾つか質問がございます」

    もしかしたら来るかな、とは思っていた事だった。

    「二件目の任務終了報告の時刻後に男士が数度渡航した記録がございます。これはいかがなされたのでしょうか?」
    「ああ、桑名江の件でしたら彼の感傷的な特質はご存じでしょう?。放棄され後は消えるだけの時間軸です。問題が無いと判断して彼の希望を聞き入れました」
    「左様でございますか。では、もう一つ任務に依らない男士の渡航履歴もございますが、これは」
    「何か気になる事があったようですね。・・・水心子は現在私の霊力で肉体を持ち顕現しています。が、基本的な性質も記憶も政府調査員のままじゃないんですか?。・・・だから私は彼を信頼して許可を出しました」
    「・・・承知致しました。この会話は報告書と共に記録されます。それでは」

    この狐の中身は管理用のAIだ。報告のイレギュラーな点に反応したのだろうが異変が無く、上層部が掘り返しに来なければこれで終わりのはずだ。
    これの為にまた新しい指令が何処かの審神者に行かない事を祈った。

    「・・・心なんて呼び起せばこうなるの知ってたでしょ?どうせ」

    誰も居ない部屋でぼつりとつぶやく。

    やれやれと立ち上がり廊下側の襖を開け、そこに人払いの為に恭しく控えていた歌仙へ声を掛ける。

    「ありがとう。定時報告終わったよ」
    「ご苦労様。・・・滞りなく終わったんだね?」
    「まあね」

    念を押すような言葉にそっけなく答えた。



    時刻は夕の頃。
    空はすでに夜の色が大半を占めている中ふらりと屋敷の外に出た。本丸の回廊状に建てられた裏側にあるのは居住区だ。
    その一角にある風呂場に沿う様に建てられた掘立小屋。内部は風呂を沸かす窯があり燃料の薪置き場となっている。
    ギイと扉を開けると今日の風呂当番であろうタオルを首にかけ汗だくになった「ソハヤノツルギウツスナリ」が燃え盛る窯の前の椅子代わりに置かれた丸太に腰かけていた。

    「よう主」
    「ご苦労様です。お風呂焚けました?」
    「・・・おう兄弟!!どうだ湯加減は!」
    「・・・ああ、丁度いい」

    大きな、溌溂とした声の問い掛けに大典太さんの声が答えた。

    「そりゃあよかった!!」

    風呂当番の片割れとして湯加減を見るという名目で一番風呂に在りついたらしいが、いつもの彼の陰気な口調もどこか寛いだ調子に二人で顔を見合わせてクスリと笑ってしまった。

    そのままソハヤさんの横に腰かけ彼と同じように煌々と燃える薪を黙って共に見つめたが、そんな私を特に気にするでもない。
    伺ったその横顔は精悍でありながらとても静かで、しかし強大な霊力のせいなのか陽気な気配が降り注がれる様だ。

    ふと、似た者同士だなと思った。
    金色に輝きながら炎をその身に写し熱を孕む薪の明かり。

    手に持っていた雨さん執筆の冊子を窯の中にポンとほおりこむ。
    ふわりとページが浮き上がり紙の端から炎がじわりと立ち上がって文字を飲み込んでいった。

    「・・・なんだい?それ」
    「まあね」
    「お?恋文か?・・・誰宛だ?それとも貰ったのか?そんな神妙に・・・話聞いてやろうか?」

    ソハヤさんは何を想像したのか俄然はしゃぎだし、そんな冷やかしに曖昧に答えながら本が全て燃え尽きるのを見守った。
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