初恋【前編】全国大会が終わった。
今まで自分の心の大半を占領していた仄暗い感情が霧散して憑き物がごっそり落ちた気分だった。そして代わりに自分の心の中いっぱいに満ちたのは「不破が好きだ」という感情だった。
俺の“初恋”だった
そうと決まれば即実行、昔から変わらない猪突猛進な性格も相まって俺は今日の部活帰りに不破に告白すると決めた。
「不破、つき合ってくれ」
「お、いいぜ。どこ行く」
「‥‥‥」
「どうした」
お互いに首を傾げた。
「そうじゃねぇ‥そうじゃねぇよ」
「じゃあなんだよ」
本当にわけがわからないという顔でこっちを見てくる不破に俺はあれと思う。
「不破、お前俺のことどう思ってる」
「んなこと聞いてどーすんの。まぁいーけど。えーと、嘘つきで、不器用なヤツ。あと弓バカ‥でも、すげーヤツだとも思ってるよ。お前がいなかったら全国なんて到底無理な話だったからな」
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