虎が欲しい者初めに彼奴を欲しいと思ったのはあの瞳だった
爺さんのはずなのに此方を鋭く見てくるが何処か揺らめきを持つさざ波の瞳。
その次に見た瞳は彼奴が掲げている誠の瞳
あの時の不安定な揺らぎは落ち着き、真っ直ぐ前だけを見る彼奴の心を表すかのように燃ゆる。
そして俺だけを見る浅葱色、緩りと溶け、視線だけで俺が大切だと伝えてくる正直な愛おしい瞳
誰に対しても分け隔てなくコロコロ変わる彼奴が俺にだけ向けてくるあの心…
嗚呼!あれが、あれが欲しい!
嫌…まだ時期では無い、もう少し引き返せない所まで来たならば虎の宝として大切に、大切に捕まえなければならない。
何時までも待つぞ永倉新八
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