愛情の記号化 夢見の悪い朝だった。まだ早く、外は暗い。起きるには早い時間だと分かったが、二度寝ができるような気分でもなかったので、フィガロはしかたなしに起き上がった。
双子達の魔法のお陰で、この家の中は一定の温度が保たれているが、それでも窓や壁の近くは少し冷える。フィガロはさっと着替えて暖炉のある居間へ向かった。すると、先客がいるようで部屋の前がうっすら明るかった。
中を覗くと、廊下よりも少し暖かい部屋の中でスノウが揺り椅子に座っているのが見えた。彼の体格にはあまり合っていない大人用の揺り椅子だが、彼もホワイトもこれを気に入っているようだった。
しかし、部屋の中にホワイトの姿は見当たらない。起きてくるときも、寝ていないときや故あって早起きした日でも、二人揃っているのが常なので珍しいことだった。
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