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    ruicaonedrow

    エタるかもしれないアレとかコレとか/ユスグラ/パシラン/フィ晶♂/銀博/実兄弟BL(兄×弟)/NovelsOnly……のはず

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    ruicaonedrow

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    11月には何とかなるとイイナ……

    幻惑パレイドリア【パシラン】 炎帝は息を呑んだ。紅蓮の双眸をまなじりが避けんがばかりに見開き、呼吸さえ震わせながら眼前の光景を凝視していた。知らず握りしめた両の拳が、細かく揺れているのも気付かずに。
     それは暗がりの中に浮かび上がるひとつの舞台。円形状の客席に周囲を取り囲まれたそこには大きな鳥籠がぽつんと置かれていて、支柱には蔦が絡まり鮮やかな花が咲いていた。中心には鎖がぶら下がり、頭上からの幾重もの光を鈍く反射し、床の上に歪な模様を描く。動く度、揺れる度、金具が軋んでじゃらりじゃらりと重い音を立てる。
     不意に、観衆のどよめきが耳を打った。熱を帯びたさざめきに、炎帝はけれど、ただ立ち尽くすことしか出来ない。そこで彼は気付いた。ハッと顔を上げたのなら、自身は観衆の一部であった。両脇に座席を従えた通路の中央にその身は在る。そうして、舞台上の鳥籠を真っ直ぐに見下ろしている。
    「――皆様、今宵は当オークション会場へおいで下さいまして有り難う御座います」
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    ruicaonedrow

    DONE一幕一場(状況説明)
    KA-11.
     ここまで道が混んでいるなんて何時振りだろうと、ラモラックは思った。少なくとも、直近ではないことだけは確かだ。
     第一師団がブルグント地方で戦果を上げたときだったろうか。それとも、第三師団が見習いたちと共に近隣の盗賊団を壊滅させたときだったろうか。英雄ロットが不在の今、好機とばかりに攻め込んできた賊を、モルゴース率いる魔導師団が完膚なきまでに叩きのめしたときだったかもしれない。
     ああ、……あのときは本当にスカッとした。魔術の師匠たる賢女モルゴースの勇姿は勿論のこと、魔導師団と騎士団との一糸乱れぬ見事な波状攻撃。悲鳴を上げ、武器を放り投げ、這々の体で逃げていく奴らの情けない姿といったら! それと同時に、この国は前線基地ばりに、常に戦争と隣り合わせなのだと実感した。知識の上では理解していたものの、こうして目の当たりにするとみんなどうして仲良く出来ないのか不思議でならない。お腹が空いて気が立っているとかなのかなぁ。それなら、食べ物が沢山あるところが分けてあげたらいいのに。困っている人がいたら助けてあげて、食べ物も半分こしてあげる。それで一件落着だっていうのにさ!
    11028

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