水平線に沈む恋2 ウェスタニア皇国の第二王子ロナルドは、優秀で勤勉な海兵としても知られている。
曰く、妾腹の生まれでありながら、皇国の王子として地位を与えられた恩義に報いるため。ロナルド王子は幼いうちから士官学校で学び、学校を優秀な成績で卒業すると、レッドバレッドと呼ばれる皇国の海兵隊の将官に任命された。
ウェスタニア皇国の海竜のシンボルに三ツ星の紀章、鋭い眼光に周囲を威圧する黒い士官正装。
重巡洋艦を率い、時に神秘とも戦闘を行う勇ましい中将殿。そう呼ばれる皇国の王子が、今宵だけは白い装束に身を包んでいる。
明度の異なる白色で豪奢な刺繡があしらわれたスッとした上下と。頭にはマリアヴェールを被いて、静かに目を閉じて俯いた目元には波を思わせる菫色の文様が施されている。
4605