ふたりだけのひみつのじっけん「まつ、あのさ」
「うん」
「『きす』で子供ってできると思うか?」
大部屋でのんびりしている最中、唐突に投げかけられた質問。松井は思わず目を丸くして、近くで座っている豊前の顔を見た。二人は好い仲ではあるが、性的な接触には未だ至っていない。
豊前は特に冗談を言っている様子ではなく、真面目な顔で松井を見つめ返している。一応の性知識はある松井はどう言えばいいのかわからず、曖昧な答えを返した。
「えっと……うーん……どう、だろう?」
「まあ、よくわっかんねーよな。そういうのは」
「そ、そう、だね……」
豊前のあっけらかんとした言葉を聞いて、松井の胸に安堵の気持ちが広がっていく。それと同時に、性知識に疎い豊前に対しての悪戯心がむくむくと湧いてくる。
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