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    チョコレートと猗窩♀煉♀

    ■現代パロディ
    ■相互女体化、恋雪ちゃんと猗窩♀煉♀ちゃん

    #猗窩煉
    #女体化
    feminization

    「サロン・デュ・ショコラは戦場らしい。」
     わかってるの?と念押しする友人は、目鼻立ちのはっきりとした美人だ。バレンタイン商戦とは無縁そうな彼女は、兄のために上等なチョコレートを買い求めて催事場、もとい戦場へと足を伸ばしてきたと話していた。
    「戦場とはまた大袈裟だな!」
    「梅ちゃんは、初売り会場も戦場って言っていましたね。」
     絶対に朝一番の開店と共に行くべし、という強い進軍指示を違えず、開店の5分前に待ち合わせて訪れた催事会場の熱気は、成る程確かに仄かな殺気を感じられるくらいの盛り上がりだ。

    「恋雪さん、人が多いのではぐれないように気を付けて。」
    「ありがとう、煉獄さん。迷子になったら、エレベーターの前の椅子で待ってますね。」
    「恋雪に何かあったら面倒だ、私の鞄を掴んでいろ。」
    「ありがとう、猗窩座さん。手を握るのは駄目かしら?」
    「それは駄目。」
    「私の手でよければ、」
    「それは遠慮しておこうかな。」
    「むう!」
     華やかな会場の中を、それに負けない賑やかさで進む。催事フロアはハートやリボンの装飾が揺らめいて、心なしかチョコレートの甘い香りに満ちている。ショーケースに並んだカラフルなチョコレートをひとつずつ覗き込みながら、売り場をめぐる。
     「あの人は甘党だから、ミルクチョコレートがいいかも。でも、パッケージが可愛すぎるのは恥ずかしがってしまいそう。」とか「生徒会の皆でシェアする約束があるから個包装で予算控えめなものがいい。」「家族の分も買って行こう!」とか、ああでもない、こうでもない、と一つ一つ丁寧にブースを見ていく。
     見慣れた菓子の限定パッケージから、とても手が出ないような高級チョコレートまで一堂に会している売り場はまさに圧巻で、引率のつもりで付いて来たつもりが、つい一緒になって楽しんでしまった。

     催事場の一番奥、落ち着いた色味で飾られたブースの前で立ち止まる。名前は聞いたことがあるブランドで、シンプルな板チョコに1,800円のプライスカードが付いていてたじろいでしまう。何の分野でもブランド品というものはあって、菓子だって例外ではない。件の美人も3個しか入っていない小さなチョコに同じくらいの金額を払ったと言っていた。食に関心が薄く、今まで知らない世界だった。高級品ほどシンプルで、装飾が少ない傾向にある気がする。
    「君だったら、これ、どうやって食べる?」
     隣に立った杏寿郎が、クリアケースにとんとんと指先を当てて首を傾げる。一つだけ台座に乗せられた真っ赤なチョコレートだ。プラスチックかアルミかと疑うほど、照明を反射させて輝く一粒のチョコレート。
    「どうやって?」
    「そう、どうやって食べる?」
     改めて真っ赤なチョコレートを見詰める。消しゴムと同じくらいの大きさだ、問題なく一口で食べられるだろう。でもきっと、一口でとか、二口でとか、そういう事じゃない。返事を待つ杏寿郎が至極楽しそうに見ている。
     燃えるように赤いチョコレート、ハート型のそれを手に乗せた自分の姿を想像する。いつもの制服のままでは不釣り合いだろう、かといって着古した部屋着なんてもってのほかだ。チョコレートの味に変化はないだろうが、それでも、そんな恰好は似合わないと思った。燃えるハートのチョコレートを、どうやって食べるのが相応しいだろう。
    「一番お気に入りの服を着て、真っ赤なリップをひいてから食べる。」
    「そうか、それは楽しみだな。」
     杏寿郎が掲げたショップバックに、名前だけは聞いたことのあるブランドロゴが輝いていた。



    「さあ、恋雪さんを探しに行こう!」
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    にし乃

    REHABILIマシュマロでアイディアを頂きました、『夏♀に暴言を吐く五』の呪専時代の五夏♀です。
    ここには捏造しかないので、何でも楽しんで下さる方のみどうぞ!
    ちなみに夏♀の寮の部屋は二階にあることになっています。学校の見取り図が欲しい。

    冬に書き始めた冬のお話だったのに、気付けば三月になっていました。遅くなってしまって申し訳ありません…。マシュマロを投げて下さった方、本当にありがとうございました!
    冬の寒さに書いた文字冷え込みの厳しいある冬の朝のこと。

    「さむっ。」

    家入はぶるりと身震いをしながら、古びた校舎の廊下を歩いていた。窓から見える空は鈍色をしていて、今日の午後から雪の予報が出ていたことを思い出した。気象予報士の話が本当ならば、それなりの積雪になるであろう。彼女は雪が積もって喜ぶような子どもではないので、邪魔くさいな、と思うだけであった。

    教室が近付くにつれて、聞き慣れた喧騒が耳に届く。たった二人しかいない同級生が、また何やら騒いでいるらしかった。
    半開きになった扉から中を覗くと、案の定夏油と五条が言い争いとまではいかぬ口喧嘩を繰り広げていた。

    「いちいち突っかかってきて君は本当に鬱陶しいな!」
    「鬱陶しいのはお前のワケ分かんねー前髪だろ!」
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