テイスティングはお好みで テイスティングはお好みで
「ここが目的地だ、お疲れさん」
ネロに連れてこられた先にあったのは、紫色の大きな氷柱だった。
任務後、魔法舎に戻ったファウストを待っていたのは、今まさにどこかへ行こうと箒を取り出したネロの姿だった。
ネロにしては珍しく、労いの言葉もそこそこに切り出されたのは「疲れてるところ悪いんだけどさ、ちょっと付き合ってくんない?」という謎の誘いだった。
正直なところ、まあまあ疲労していたので、すぐにでも自室に引きこもってしまいたい気持ちが強い。
しかし、ネロの様子から察するに、おそらくギリギリまでファウストの帰りを待っていたのだろう。なかなか戻らないので外にいたことは、未だ春の気配が遠いこの寒空で赤くなった鼻が何より饒舌だ。
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