ミラーリング #15-9「戦いの終わり」「撤退、撤退だ!」
兵士たちの悲鳴が飛び交い、壊れかけの戦車が走る耳障りな音が響く。
メイヴは、苦々しげな顔で荒れ果てた野を睨みつけていた。
いまや、形勢はすっかり逆転してしまった。
コノート兵を中心とする連合軍は総崩れとなり、戦場に残っているのは、メイヴが率いるわずかな手勢だけだった。
敗北の色が濃くなったとたん、アリル王は真っ先に逃げていった。
連れ合いの情けなさにメイヴは激しい苛立ちを覚えたが、それでも、となんとか気持ちをなだめようとする。
赤牛ドン・クアルンゲは手に入れた。略奪した他の牛たちと共にすでにコノートに送っているから、取り戻されることはない。
ここが潮時だろう。
メイヴは、残り少ない兵たちに戦車を守られながら、退却の足を早める。
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