gift どうぞ、と幼い声がした。
ぞ、のあたりが舌足らずに、ちいさなこぶしがさしだされる。閉じきらない短い指のあいだにどんぐりがひとつのぞいていた。
いいものだねと、もうひとり、先のものよりいくらか年嵩の声がした。
ちいさな指が、それよりもすこしおおきな手にどんぐりを落とす。
どうぞとくりかえされた、声にはどこか誇らしげな響きがあった。
少年のてのひらに載せられたどんぐりはずいぶんとちいさい。茶色のおもてがなめらかに、うっすらと光っていた。
「なかなかいいものだね。どこで見つけたのかな。もうすこし頑張れば、もっとたくさん拾えたかもしれないね」
少年の言葉に、こどもはポケットからもうひとつどんぐりをとりだす。
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