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    takami180

    @takami180
    ご覧いただきありがとうございます。
    曦澄のみです。

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    takami180

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    続長編曦澄6
    思いがけない出来事

    #曦澄

     午後は二人で楽を合わせて楽しんだ。裂氷の奏でる音は軽やかで、江澄の慣れない古琴もそれなりに聞こえた。
     夕刻からは碁を打ち、勝負がつかないまま夕食を取った。
     夜になるとさすがに冷え込む。今夜の月はわずかに欠けた十四夜である。
    「今年の清談会は姑蘇だったな」
     江澄は盃を傾けた。酒精が喉を焼く。
    「あなたはこれからますます忙しくなるな」
    「そうですね、この時期に来られてよかった」
     隣に座る藍曦臣は雪菊茶を含む。
     江澄は月から視線を外し、隣の男を見た。
     月光に照らされた姑蘇の仙師は月神の化身のような美しさをまとう。
     黒い瞳に映る輝きが、真実をとらえるのはいつになるか。
    「江澄」
     江澄に気づいた藍曦臣が手を伸ばして頬をなでる。江澄はうっとりとまぶたを落とし、口付けを受けた。
     二度、三度と触れ合った唇が突然角度を変えて強く押し付けられた。
     びっくりして目を開けると、やけに真剣なまなざしとぶつかった。
    「江澄」
     低い声に呼ばれて肩が震えた。
     なに、と問う間もなく腰を引き寄せられて、再び口を合わせられる。ぬるりと口の中に入ってくるものがあった。思わず頭を引こうとすると、ぐらりと体が傾く。
     背中に板の間の硬い感触を受けた。
    「ん……」
     江澄は力いっぱい目をつぶった。
     なにがどうなっているのかわからないまま、口の中を這いまわる感触に翻弄される。
     解放された頃には、すっかり江澄の息は上がっていて、目は涙をたたえていた。にじむ視界の中で、自分の上にいる藍曦臣の顔がもう一度近づいてくるのが見えた。
     江澄は思わず顔をそらした。
     待ってほしい。頭が追い付かない。
     ところが、今度は首筋を吸われた。ぞくり、と背中が震える。
     ようやく江澄は自分がどういう状況にあるのか把握した。
    (うそだろう)
     まったく予想していなかった事態だった。冷静になればそのほうがおかしいと分かることも、今の江澄には分からない。
    「う……」
     耳殻を食まれて、口付けられて、あっという間に動転した。
     まさかそんなことをされると思っていなかった。自分にそんな価値があるとは知らなかった。完全に関係のないこととして、思考の外側に追い出していた。
    「待ってくれ」
     本人はきっぱりと言ったつもりだった。だが、出たのはか細い声だけだ。
    「曦臣、待って」
     そんな声でも、藍曦臣には聞こえたらしい。顔が離れていき、息を呑む気配があった。
    「江澄、すみません」
     藍曦臣に肩を支えられて半身を起こした。
     顔は熱いまま、息も乱れたままだ。
     江澄は袷を握りしめた。
    「いや……」
     何と言えばいい。頭の中をありとあらゆる言葉が行き交って、適切に選択ができない。
    「すみません、あの」
     藍曦臣の手が離れて、距離が空いた。
     江澄は顔を上げて、目を見張った。
    「嫌なことをいたしましたね」
     藍曦臣のほうが泣きそうな顔をしている。泣きたいのはこちらのほうだ。いきなり、倒されて、驚いて、たしかに恐ろしかった。
    「もう、触れませんから」
     藍曦臣はひざをついたまま、また一歩ほどの距離を後ろに下がった。
     江澄は首を振った。そうではない。そばにはいてほしい。抱きしめてほしい。だけど、それ以上はやめてほしい。
     ひどい言い分があったものだ。
     男に対して、一方的すぎる要求であることは分かっている。考えていなかったなどということは口に出せない。
     それでも、藍曦臣は汲んでくれたようで、再び傍らに戻ってきた。
    「背中に、触れてもよろしいですか」
     江澄はうなずいた。まだ、声が出ない。噛みしめた奥歯を離してしまったら、涙が出そうだ。
     泣いては、また藍曦臣を傷つける。
     藍曦臣は柔らかな手つきで江澄の背をさすった。体の震えがおさまるまで、ずっとさすり続けてくれた。
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    「何をしている!」
     江澄は鋭い声を飛ばした。ずかずかと房室に入り、傍の小円卓に水差しを置いた。
    「晩吟……」
    「あなたは怪我人なんだぞ、勝手に動くな」
     かくいう江澄もまだ左手を吊ったままだ。負傷した者は他にもいたが、大怪我を負ったのは藍曦臣と江澄だけである。
     魏無羨と藍忘機は、二人を宿の二階から動かさないことを決めた。各世家の総意でもある。
     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
    「とりあえず、水を」
     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
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    「怪我はありませんでしたか」
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     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
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     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

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    PROGRESS恋綴3-5(旧続々長編曦澄)
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     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
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    1437

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    DONE現代AU
    ツイスターゲームをしようとする付き合い立て曦澄。
     確かに、藍曦臣があげた項目の中に「これ」はあった。そして自分もしたことがないと確かに頷いた。
     ただ、あまりその時は話を聞けていなかったのだ。仕方がないだろう?
     付き合い始めて一か月と少し。手は握るが、キスは付き合う前に事故でしたきりでそれ以上のことはしていない。そんな状態で、泊まりで家に誘われたのだ。色々と意識がとんでも仕方がないではないか。もしもきちんと理解していれば、あの時断ったはずだ。十日前の自分を殴りたい。
     江澄は目の前に広がる光景に対して、胸中で自分自身に言い訳をする。
     いっそ手の込んだ、藍曦臣によるからかいだと思いたい。
     なんならドッキリと称して隣の部屋から恥知らず共が躍り出てきてもいい。むしろその方が怒りを奴らに向けられる。期待を込めて閉まった扉を睨みつけた。
     だが、藍曦臣が江澄を揶揄することもないし、隣の部屋に人が隠れている気配だってない。いたって本気なのだ、この人は。
     江澄は深いため息とともに額に手を当てる。
     「馬鹿なのか?」と怒鳴ればいいのだろうが、準備をしている藍曦臣があまりにも楽しそうで、金凌の幼い頃を思い出してしまうし、なんなら金凌の愛犬が、 4757

    takami180

    PROGRESS長編曦澄15
    おや、再び兄上の様子が……
     あの猿は猾猿という怪異である。
     現れた土地に災禍をもたらす。
     姑蘇の、あまりに早く訪れた冬の気配は、疑いなくこの猾猿のせいである。
     猾猿は気象を操る。江澄を襲った倒木も、雨で地面がゆるんだところに風が吹きつけた結果だった。
    「何故、それを先に言わん」
    「あんな状況で説明できるわけないだろ」
     魏無羨はぐびりと茶を飲み干した。
     昨夜、江澄は左肩を負傷した。魏無羨と藍忘機は、すぐに江澄を宿へと運んだ。手当は受けたが、想定よりも怪我の程度は重かった。
     今は首に布巾を回して腕を吊っている。倒木をもろに受けた肩は腫れ上がり、左腕はほとんど動かない。
     そして今、ようやく昨日の怪異について説明を受けた。ちょっとした邪祟などではなかった。藍家が近隣の世家に招集をかけるような大怪異である。
    「今日には沢蕪君もここに来るよ。俺が引いたのは禁錮陣だけだ。あの怪を封じ込めるには大きな陣がいるから、人を集めてくる」
     話をしているうちに藍忘機も戻ってきた。彼は江澄が宿に置きっぱなしにした荷物を回収しに行っていた。
    「なあ、藍湛。江家にも連絡は出したんだろ?」
    「兄上が出されていた」
    「入れ違いにな 1724

    巡(メグル)@20216575z

    DONEわかさんのスペースでお話されていた病弱江澄のお話の一部設定を使わせて貰ったお話。
    ①出会った時、澄は曦を女の子と勘違いする
    ②江澄が病である
    ③澄が曦の元を去る
    ④最後はハピエン
    上記四点を使わせていただきました。
    本家のお話はわかさんに書いていただくのを楽しみにしてます。

    宜しければ感想お聞かせください🙏
    病弱江澄ss曦澄おち「もうここには来んな」
    「どうして?そんな事言わないで、阿澄」
    「どうしてもだ」
    「明日も会いに来るから」

    そう言って帰って行った彼。
    綺麗な顔を歪ませてしまったけれど仕方がなかった。

    小さな頃の約束は果たせそうにない。
    ごめんな。




    初めて藍渙…あの頃は阿渙と呼ばれていた。
    出会ったのはココ。
    このクラス10000の清浄な空気に囲われた箱庭みたいな小さな世界だった。

    俺と同じ病の弟のドナーになるためにこの病院にやってきた彼。
    小児病棟の端っこで他の患児達と混じることなく一人でいた彼はとても可愛らしい顔に不安を滲ませラウンジのベンチに座っていた。

    「忘機…」
    それが弟の名前だったらしかった。

    何となく気になってしまった俺はその子に声をかけてしまっていた。今から思ったら笑えてしまうけれどその時俺は一目惚れをしてしまったのだった、彼に。
    1625