キッチン・エミヤ海の家編「はーい! ヤキソバ2つとかき氷2つですね!」
「イカ焼き3つ入りましたー! 生3つもってきまーす!」
「ご注文のたこ焼き大皿になります。ウーロン茶は――はい、失礼いたします!」
わいわいわい、がやがやがや。
そんな喧噪にも似た忙しさの中、色違いのアロハシャツを着た、まだ学生と思われる三人はつぎつぎとやってくる客の注文をとり、料理を配膳し、会計をしていく。
「はあ~~! やっぱり今日は大盛況ですね」
「すまないな。まさか、ここまでとは思わず……」
「いいんですよ、その分、バイト代はがっぽり頂きますんで!」
「それはもちろん」
ここは所謂『海の家』。
先週ようやく梅雨明けしたこの地域では、長期休みに入ったということもあり、砂浜や美しい海、そして波を求めた、若者から家族連れまで、さまざまな人々でごった返していた。
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