貴方は美しいが冷淡だ「あ、桜咲いてる」
「春だからなぁ」
「…………」
「なぜ睨む」
「小次郎ちょっとそこ立ってよ」
じとーと睨んでそう指示を出すと、彼は仕方あるまいと言われた通りに桜の木の前に立つ。それを確認してからわたしは少しだけ離れて、両手の人差し指と親指で四角を作り桜の木と彼だけを切り取るように目の前へ掲げ四角の中をじっと見つめる。
…桜の淡いピンク色の風と彼のイメージカラーとも言える群青色が合わさってとてもきれいで、やっぱり絵になるなぁと思わずため息が出てしまう。
「…」
「……いつまで居れば良い」
「カメラ持ってくれば良かったな…。小次郎ってやっぱり、桜似合うね。すごく絵になる」
「そうか」
「うん。綺麗だ」
瞳を細めて笑いかければ彼は「そういう言葉はおなごにかけてやれ」と話してこちらへ歩み寄る。
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