オベロンが学校の友達に夏祭りに行こうと誘われたらしい。
ヴォーティガーンは夏祭りに少し興味があったが、騒がしいところは得意ではないしひとりで行くのもつまらなさそうだと思い、それらを全て隠してオベロンに「いってらっしゃい」といった。そうしたら彼は「君も行くんだよ」と不思議な顔をして言ったのだ。
着いていくだけかと思っていたら、まさかユカタまで着せてもらえるとは思わなかった。
オベロンに髪も纏められ、きっちり正しく着付けられた浴衣姿に自分でも見違えたと思った。自然と背筋が伸びた気がした。
満足そうなオベロンの顔を見て少しだけ嬉しくなった。
とてもよく似合っているよ、はお世辞かもしれないがそれでも褒められたことには変わりない。ぎこちなくはにかんでいた。
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