シナリオ通りにはいかない<1> -降谷Side-
誰にも言えない、片想いをしている。
きっと、人生で最後の恋。そして、きっと、叶わない――そう思っていた。しかし、天は何を思ったのか自分の恋を叶えてくれた。
永遠に続くことはない、ほんのひとときの時間だろうけれど、自分が描いたシナリオは、恋を叶える男の物語へと変わっていった。
「あなたのことがずっと好きでした。その……恋愛的な意味で」
組織壊滅作戦の最中。生と死が隣り合わせている境地で、降谷は赤井に胸の内を打ち明けた。
密やかな心残りを吐露したことで、気持ちがそっと凪いでゆく。
死ぬつもりはさらさらないが、たとえこの作戦で命を落とすことになっても、後悔することはないだろう。墓場まで持っていくつもりだった想いだ。墓場にいく前に伝えたところで大差はない。
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