無題エメの独白
――最期の瞬間はいつだって、それは美しいものさ。
いつだったか、そう言っている奴がいた。異論はなく、私もそうだと思っていた。思っていたのだ――友人を見送るこの瞬間までは。
見慣れた色の魂が、今まで見た中でより一層美しく輝きを増しながら天へ昇っていく。人よりもよく視えるこの目をこんなにも忌まわしいと思ったことはない。厭なら見なければいいのに、陽を浴びた宝石のように美しく輝くそれから目を離すことが出来なかった。強く握った手が熱い。取り戻さなければ。そう心に誓い、瞳を閉じた――濡れた床がやがて海となり溺れてしまうその前に……