曲げたくない、大切なこと。はあ、と手に息を吹きかける。
手を摩っても、一向に温まる気配もない。
足が、寒さで小さく震える。
それでも、オレはここから移動する訳にはいかなかった。
この"約束"だけは、守りたいから。
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それは、ある日の、公演の合間に起こった出来事だった。
配線が絡んでいたのか、経年劣化なのか。
ショーに使っていた機材の1つがショートし、うんともすんとも言わなくなってしまった。
類が見てくれたが、素人のオレが見ても、修理には時間がかかる上、困難を極めることが容易に理解できてしまって。
明日、最終公演を迎えるこの公にでは、間に合わないことが、確定してしまっていた。
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