素直じゃない虎ほかほかと湯上がり特有の火照りを感じながら場地は家とは違う柔軟剤の香りのするタオルで頭の水滴をガシガシと拭う。
同じく脱衣所ではTシャツと半パンを身に付けた一虎が場地のものとは違うサラサラとした黒髪を白いタオルで無造作に拭いていた。
「あっちぃ…」
ある程度水滴をタオルに吸収させた後一虎はペタペタと脱衣所から出ていってしまう。
場地はそれを尻目に慣れた動作で洗面台に併設された棚からドライヤーを勝手に拝借し髪を乾かし始める。
どこのメーカーか分からない黒いドライヤーは勢いよく風を吐き出し場地の癖のある髪の毛をなびかせる。
その様子を隣の部屋のリビングから椅子に座り一虎が眺めていた。
一虎には髪をドライヤーで乾かす習慣がない。これは一虎んちで一緒に風呂に入って知った事だ。
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