甘くて、アマイ 歳の差というものが、こんなにもどかしいと思う日が来るなんて。暦は内心で歯噛みをしながら、チラリと目の前の男を見る。
普段はきっちりとセットされている鮮やかな藍色の髪は、休日という事で緩く流されている。秀でた額にかかる藍色が何やら艶めいて、それが普段よりも無防備に見えて思わず喉が鳴った。
手元の本を眺めている紅い瞳に、伏せられたまつ毛が目元に影をつける。ソファに座って、長い足を組んでリラックスしているようで、けれどほんの僅か、どこか物憂げに見えるその姿は、まるで完成された絵画のようだ。
今日も変わらず美しいと、思わずほぅと息をため息を吐いてしまう暦は、そんな彼の側に居る事を許されている存在なのだと思うと、誇らしいような、畏れ多いような、でも嬉しいような、複雑な気持ちを抱いてしまう。
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