「生まれてきてくれてありがとう」 二月八日。土曜日。学生は休みであり、登校するものは部活動関係が多いだろう。そんな中教師である不死川は、仕事の為に学校へ足を運んでいた。
(……ったく、こんな時まで仕事かよ)
思わず深いため息を吐いた。――何を隠そう。本日は恋人の誕生日なのだ。仕事に対して愚痴を零しても、許してもらいたいところである。
職員室に入ると恋人の机にも荷物が乗っていた。おそらくだが、部活動関係で来ているのだろう。
(アイツも仕事だよなァ)
恋人が指導する部は、学校が休みの日はだいたい朝から夕方まで活動していた。己がどんなに早く仕事を終わらせたとしても、確実に会えるのは夕方以降だろうと推測する。
不死川は時計に視線を送った。時刻はまだ十時を回ったばかりだ。先は長いな、とほんの少しだけ肩が落ちた。
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