有川譲は審神者である。大会の帰り道、日も落ちきったような時間だった。
部活仲間ともとうに別れひとりで人気のなくなった道を歩いていた。
とはいえまるで人通りのない通りというわけでもない。時々でも人や車が通りがかる生活道路だ。
だからその車が視界に入った時もなんとも思わなかったのだ。
窓に黒くスモークのかかったワゴン車。
真横を通りがかった瞬間、言葉を発する間もなく口をふさがれ拘束される。
バチッと首に痛みを感じるや否や体がしびれて力が抜けてしまった。
それなりに鍛えた体のおかげか未だに白虎の加護が健在なのかどうなのか、それなりに強烈な一撃でも意識は保てたのは幸いと言っていいのか悪いのか。
大した抵抗もできぬまま拘束され、車に連れ込まれてしまった。
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